麻衣子の記録 連載第100回

11月10日(火)
9:45 麻衣子の病室へ。薬を飲ませる。少しうなっている。額を冷やしてやると落ち着いた。下剤(水薬)を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
9:50 看護師さんによる口腔ケア。
9:55 オムロン37.7度
11:00 うなり声もなく落ち着いている。
11:25 検温37.7度
12:05 テルモ37.03度
13:05 検温37.5度
14:55 オムロン37.0度
15:45 歯をきれいにする。音がするので、鼻の穴を綿棒できれいにしたが、鼻の中に大きな塊があった。そのためにヒューヒューと音がしていたようだ。
17:05 そろそろ薬が来るだろう。談話室では、配膳が始まっている。
17:15 大学病院のT先生がくる。いろいろな話をする。
17:25 薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
17:30 義母が帰った。
  ・・・・・・・・・
 病院から麻衣子の診断書をもらった。早速、入院給付金請求の資料をそろえ、封筒に入れた。病院からの帰りに、ポストに投函した。
 
11月11日(水)
9:45 麻衣子の病室へ。氷枕も冷やし枕もしていないので熱がないのかと思ったが、額も体も熱い。体温計で測ってみると、熱があった。薬を飲ませる。額をタオルで冷やす。
9:48 オムロン38.4度 
10:30 今は声も出さず落ち着いている。
10:35 鼻の穴の中をきれいにする。
10:45 検温37.7度
11:30 看護師さんによる口腔ケア。
12:08 オムロン38.3度
13:05 検温37.5度
13:19 オムロン37.4度。落ち着いている。
14:45 オムロン37.0度。とても落ち着いている。
16:46 オムロン36.3度
16:50 検温36.1度
17:00 薬を飲ませる。
17:22 オムロン36.2度
17:30 幸せそうな表情で眠っている。
 ・・・・・・・・・
 郵便局から、簡易保険の住所変更の手続きについて、連絡があった。

麻衣子の記録 連載第99回

11月8日(日)
9:35 麻衣子の病室へ。薬を飲ませる。
9:44 オムロン37.0度 テルモ36.65度
11:20 看護師さんによる口腔ケア。
11:30 オムロン36.8度。でも、麻衣子はうなっている。
13:40 テルモ36.32度。でも、麻衣子はうなっている。
14:30 おむつ交換、体位変換
16:15 落ち着いている。
16:22 テルモ36.72度
16:45 検温36.8度
17:00 薬を飲ませる。
 ・・・・・・・・・・
 朝、私は、お風呂のドアの樹脂パネルを割ってしまった。運動不足で足腰の筋肉が弱ったためか、体の感覚がにぶったためかはわからないが、お風呂の椅子に座るのに失敗し、その弾みで、ドアのパネルにぶつかり、割ってしまったのだ。これから、気をつけなければ。若くはないのだから。階段などにも、滑り止めが必要かもしれない。
 風呂のドアについて、いろいろ調べた。簡単に取り外しができるらしい。樹脂パネルとカッターを買って、自分で修理しよう。
 今日は麻衣子の熱は低かった。でも、うなっていた。肩の肉がほとんどないから、肩が痛むのだろうか。それとも、他の部分が痛いのだろうか。
 買い物リスト・・・マット、アクリル板、アクリルカッター、強力テープ、記録用ノート。
 
11月9日(月)
9:35 麻衣子の病室へ。薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
9:55 オムロン37.4度。ちょっとうなっている。
13:20 検温37.5度
14:16 オムロン37.4度
15:10 オムロン37.1度
15:30 清拭。とても落ち着いている。うなってはいない。
16:55 薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
17:20 眠くなってきたようだ。
17:35 オムロン36.7度。すやすや眠っている。
 
 ・・・・・・・・・
 お風呂のドアの樹脂パネルをネットで注文したので、それが届いてから交換作業をやろうと思う。かわりのゴムパッキンだけ買っていこう。作業中に、元のパッキンがだめにならないように。
 買い物リスト・・・ゴムパッキン。

麻衣子の記録 連載第98回

11月6日(金)
9:25 麻衣子の病室へ。薬を飲ませる。喉のネバネバをとる。麻衣子は落ち着いている。
9:55 オムロン37.2度 
10:35 検温37.1度。バルーン交換。熱が下がっていて、落ち着いているので、口を開けてくれる。それで、口の中をきれいにすることができた。うとうとしている。「カーカー」と喉から音を出している。
11:35 テルモ36.67度。落ち着いている。 
11:55 喉をきれいにして、久しぶりに乳酸菌飲料(5cc)を飲ませた。
13:10 検温37.0度。おむつ交換。とても落ち着いていて、表情も良い。
13:45 テルモ36.90度
14:20 体を拭いてもらう。
14:30 オムロン36.7度。麻衣子の無表情は脳が壊れているせいだ。でも可愛い穏やかな表情だ。熱も発作もないときには。
15:50 麻衣子がくしゃみをした。窓を閉めた。
16:25 テルモ36.60度
17:00 薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
17:25 テルモ36.56度
  ・・・・・・・・・・
 朝、ワイシャツなどを洗濯した。窓口センターで住民票5通をもらってきた。麻衣子は朝から熱は低めで、とても落ち着いている。こんな状態が続くと良いのだが。
 宅配便で、TVが届いているとの連絡が入り、夜、受け取った。
 新しい物を用意すること・・・・バスタオル、タオルケット(麻衣子の入院用品)。
 
11月7日(土)
14:00 麻衣子の病室へ。午前中は美帆が麻衣子を見ていてくれた。
14:23 オムロン38.1度
15:31 オムロン38.0度
15:55 オムロン37.4度。熱は大分下がったようだ。落ち着いている。
16:55 薬を飲ませる。
17:00 オムロン37.1度。すっかり熱は下がったようだ。
17:10 検温37.1度。氷枕がはずされた。
17:40 テルモ36.73度。麻衣子は眠っている。
  ・・・・・・・・・・
 
 昨夜、美帆から電話があった。午後に用事があるから、午前中に麻衣子の付き添いをしたいという。それで、私は、午後2時までに病院へ行くことにした。大型テレビが届いたので、午前中に、ニトリに行って、テレビ台を買ってきた。それから、タオル2枚と突っ張り棒を買ってきた。アパートに戻り、早速テレビ台を組み立てた。すっかり、リビングらしくなってきた。昼食は焼きそばを食べた。
 麻衣子は38度の熱を出していた。昨日は、つかの間の平温だったのか。
 美帆の私に対する態度が、以前と違うような気がする。私の気持ちが通じたのだろうか。よくわからない。
 スマホを使って、クレジットカードの1枚について、住所変更をした。
 買い物リスト・・・物干し竿、アイロン、老眼鏡。

麻衣子の記録 連載第97回

11月5日(木)
9:35 麻衣子の病室へ。氷枕をしていないので、熱はないのかと思ったが、そうではなかった。38.5度以上の熱があるようだ。急いで、タオルで額を冷やした。最初の頃、ナースステーションで氷をもらったことがあったが、それ以降は、コンビニで買ったり、アパートの冷凍庫で氷を作ったりした。そして、クーラーボックスに入れて、病室に持ち込んだ。
9:49 オムロン38.7度 
10:10 検温38.2度。「ヒューヒュー」と喉からの音(3回ぐらい)が聞こえた。
10:15 看護師さんによる口腔ケア。顔と髪もきれいにしてもらう。
11:00 看護師さんに体を拭いてもらう。
11:50 テルモ37.88度。少し落ち着いてきた。
12:00 眠り始めた。
12:24 ヒューヒュー音が2、3回聞こえた。頭を低くする。
12:33 テルモ37.97度
13:10 ヒューヒュー音が4、5回聞こえる。ぜんそくのような音である。喉がなめらかになるようにと、水を飲ませる。(5cc程度)
13:20 検温38.1度。歯をきれいにする。
14:00 オムロン38.0度 
14:23 テルモ37.26度
14:52 テルモ37.17度
14:54 喉のヒューヒュー音(10回以上)
14:58 喉のヒューヒュー音。水を飲ませる。
16:04 オムロン36.8度。すっかり熱が下がって、うとうとしている。
17:00 あくびや吸い込む音。薬を飲ませる。でも、眠っているので、なかなか飲ませるのが難しい。その後、口を開けてくれたので、口の中のネバネバをたくさんとることができた。
17:25 オムロン37.0度
・・・・・・・・・・・
 記憶が鮮明なうちに、麻衣子の記録をまとめたいな。記録をまとめる作業はとてもつらいが、頑張ってやらなければならないと思う。
 明日の朝、窓口センターで住民票をもらわなくては。免許証、クレジット会社、保険会社などの住所変更をすみやかにやらなければと思う。

麻衣子の記録 連載第96回

11月3日(火) 文化の日
9:25 麻衣子の病室へ。氷枕をしていないが、額と体が熱い。体温を測ってみると、38度を超えている。すぐにタオルで額を冷やし始める。薬を飲ませる。
9:34 オムロン38.7度 
10:30 検温39.2度。頭と腋の下、太ももを氷で冷やしてもらう。
12:48 おむつ交換。体位変換
13:00 発熱でずっと、うなっていたが、少し穏やかになってきたような気もする。
13:28 オムロン38.8度
14:12 オムロン38.2度
14:10 落ち着いて眠り出した。
15:20 オムロン37.5度 
15:30 美帆が来たので、交替してアパートへ帰る。
 
11月4日(水)
9:35 麻衣子の病室へ。口の中をきれいにして、水を飲ませる。薬も飲ませる。歯をきれいにする。少し、うなっている。
10:04 オムロン38.3度 
10:30 看護師さんに口の中と顔をきれいにしてもらう。
11:00 オムロン38.2度 
11:05 義母が来る。義母に美帆のことで、また、愚痴を言ってしまった。
11:15 検温38.0度。氷枕、太ももを冷やしてもらう。
12:54 オムロン38.2度。落ち着いてきた。
13:05 検温38.2度
13:40 テルモ37.72度
16:20 義母が帰る。
16:33 オムロン38.0度。
16:45 薬と水を飲ませる。「ヒュー」という喉からの音が2度聞こえた。歯の裏の固まった汚れを取ってあげる。
17:15 検温37.6度。麻衣子は落ち着いている。薬が効いてきたのか眠そうにしている。
 
 ・・・・・・・・・
 今日は便が出たと看護師さんから聞いた。

麻衣子の記録 連載第95回

11月1日(日)
13:00 麻衣子の病室へ。美帆は団地に帰る。
13:59 落ち着いている。オムロン37.5度 
15:05 検温37.3度
17:05 検温36.6度。今までにないような平温になった。
17:45 薬を飲ませる。綿棒で口の中をきれいにする。
17:50 オムロン36.7度 
 ・・・・・・・・・・
 麻衣子の喉をきれいにしていたら、貝の干物のおつまみのような固形物が出てきた。
 保険の住所変更を申請した。本人ができないので、代理人である私が代わって行うことができる。私が受取人になっている保険金は、私の口座にしか入金されないだろうが、その手続きについても、「母さんのことは全部自分がやる」と言っている美帆に任せず、自分ですべてやるようにした。
 11月になった。こんなに長く病院へ通うとは考えもしなかった。でも、麻衣子が頑張って生き続けていてくれるのはうれしい。病院通いの生活の中で、いろいろなことを考えた。次なる生活を見据えて、引っ越しもした。ひとりで生きて行こうという覚悟もできた。
 昨日の美帆の電話は意外だった。今日は朝から病院に来てくれた。午後1時に交替した。お陰で、オイル交換やいろいろな買い物をすることができた。
 麻衣子は、これからどんな最期を迎えるのだろう。でも、もう怖くない気がした。できるだけ穏やかに、それだけが願いだ。
 
11月2日(月)
 朝、N生命(保険会社)へ提出する住所変更書類に必要事項を記入し、ポストに投函した。
9:35 麻衣子の病室へ。氷枕をしていたので、熱があるのかと思った。額も体も熱いような気がした。でも、実際に体温を測ってみると36度台であった。明け方には38度あったらしく、それで氷枕をしていたようだ。熱があるときには、「うーん、うーん」とうなり声を出すので、その時の方が熱のない時より、むしろ元気に思えてしまう。
9:51 オムロン36.8度 
10:20 検温37.2度。薬を飲ませる。落ち着いている。
13:00 オムロン36.9度 
13:20 検温36.7度。お通じがない。
15:15 オムロン36.9度 
16:50 検温37.1度。薬と水を飲ませる。
17:55 オムロン37.1度 
17:20 薬が効いてくると眠った。
 
 ・・・・・・・・・・
 今日は穏やかな一日だった。この病気は今後、どのような経過をたどるのだろうか。きっと、急な容態悪化ということなのだろう。熱がない時は、うとうとしている時間が長い。麻衣子にとっては、眠っているときが一番幸せな時なのだろうと思う。私も引っ越しして、ひと月近くなるが、新しいアパートの生活に慣れてきた。あとは、TVとTV台があれば、一応、家財道具はそろう。明日にも注文しよう。
 買い物リスト・・・粘着テープ、スティックのり、もっと強力な掃除機、ゴミ箱、ペール缶、TVとTV台。分波器。ケーブル。
 生命保険やクレジットカードなど、住所変更がたくさん必要だな。
 
私から麻美へ
今日は、これまで、高熱に苦しめられていたのが、嘘のように、穏やかでした。明け方には38度の熱があったようですが、その後は下がりました。明日も、今日と同じようだといいなあ。明日は、美帆も病院に来てくれると言うことです。お義母さんも4日には来る予定になっています。
 

麻衣子の記録 連載第94回

10月30日(金)
9:35 麻衣子の病室へ。顔を拭いて、薬を飲ませる。
9:52 オムロン38.2度
10:30 検温。体を拭いてもらう。
11:32 オムロン37.6度
13:30 オムロン37.6度
14:25 オムロン37.9度
14:55 テルモ37.11度。麻衣子は落ち着いている。穏やかだ。
16:20 オムロン37.1度。とても落ち着いている。熱は完全に下がった。
16:50 少し、口の中をきれいにした。
17:10 検温36.9度
 ・・・・・・・・・・
 郵便物転送手続きをした。住所変更の手続き、衣類の整理、麻衣子記念室の整備を進めなければと思う。
 数日前、弟から、叔母の死去の知らせを受けた。お悔やみは依頼した。不意の冠婚葬祭に備えて、ジャケットや礼服をクリーニングに出しておかなければ。クリーニングはみんな、麻衣子に頼っていたからな。
 買い物リスト・・・ヘアカッター、プラスティックの入れ物、ポリ袋、ゴミ箱、冷凍食品いろいろ、海苔、卵。
 免許証のコピーを取っておくこと。
 
10月31日(土)
9:35 麻衣子の病室へ。
9:45 オムロン38.1度 
10:00 検温38.0度 
12:07 オムロン38.6度。麻衣子はうなっている。
12:55 検温37.7度
13:45 オムロン38.5度
14:35 テルモ37.37度
15:25 テルモ37.29度
15:55 体位変換
16:00 テルモ37.22度
16:50 テルモ36.98度
17:10 検温37.2度
17:30 薬を飲ませる。
17:55 テルモ37.04度
 
・・・・・・・・・・
 病棟には、様々なスタッフがいる。男の看護師もいるし、ベテランも若い女性の看護師もいる。親切な掃除のおばさんも病室に出入りし、麻衣子に優しくしてくれる。また、看護師というより、介護職員のような人もいる。
 看護師で、ちょっと豪快な感じの女性がいた。私たちは、気さくにその看護師さんから、いろいろなことが聞けた。あるとき、彼女が、麻衣子の腕をつねった。麻衣子はしかめ面をした。看護師は、「まだ痛いという感覚が残っているのね」と言った。また、あるとき、こう言った。
「さあ、呼吸が先か、心臓が先か、でも、同時に止まることが多いのよね」

麻衣子の記録 連載第93回

10月28日(水)
9:35 麻衣子の病室へ。
9:50 オムロン38.8度 
11:00 検温38.1度
11:37 オムロン38.6度
12:07 オムロン38.1度
12:25 オムロン38.3度
12:30 オムロン37.7度
13:10 検温37.3度。麻衣子は落ち着いている。水を少量飲ませる。
13:20 オムロン37.7度
14:10 オムロン37.6度
14:45 落ち着いて、すやすや眠っている。
15:00 テルモ36.81度
15:25 テルモ36.82度
16:00 テルモ36.95度
16:30 おしっこの出が悪いので、再び管が入る。おしっこが汚れているという。そのための炎症で、熱が出ているのかもしれないという。
16:35 オムロン37.4度。麻衣子は落ち着いている。
16:50 検温37.4度 
17:00 薬を飲ませる。水も飲ませる。歯をきれいにする。
 ・・・・・・・・・・・
 N生命の担当者から、私に電話があった。担当者が変わると言うことだった。私と麻衣子だけが転居したので、これは変だと思ったのだろう。彼らはプロだ、そうしたことには敏感だ。たぶん、美帆とやりとりしていた担当者は、降ろされたのだろう。保険金の請求手続きができるのは、指定代理請求人の私だけなのに、入院給付金について、娘の美帆とやりとりしていたのだから。
 
10月29日(木)
9:40 麻衣子の病室へ。
10:45 検温38.2度
10:47 オムロン38.5度
11:15 薬を飲ませる。歯をきれいにする。
13:10 検温38.1度
14:00 看護師さんからの指摘で、主治医による診察があった。褥瘡ができているということだった。診察の後、お尻に何か貼ってもらった。
14:29 オムロン38.2度
14:55 落ち着いている。
15:25 オムロン37.9度
16:10 オムロン38.1度
17:00 オムロン38.3度
17:15 検温37.8度
17:55 オムロン37.9度
 ・・・・・・・・・・
 麻衣子は、発作がなくなったかと思ったら、今度は発熱に苦しめられている。本当にかわいそうだ。

麻衣子の記録 連載第92回

10月25日(日)
9:25 麻衣子の病室へ。昨夜は37.7度だったそうだ。
9:45 薬を飲ませる。麻衣子はうなっている。
10:35 検温38.3度。看護師さんによる口腔ケア。熱が38度台で続いている。ずっと、「あーん、あーん」とうなっている。
14:25 おむつ交換。
14:40 検温38.6度
15:00 美帆が来たので、私はアパートへ帰る。
 
10月26日(月)
9:40 麻衣子の病室へ。朝の検温38.2度。薬を飲ませる。綿棒で歯をきれいにする。
10:00 オムロン38.4度 
10:10 麻衣子はうなっている。
11:20 オムロン38.0度。熱が下がってきたためか、麻衣子は落ち着いてきた。
11:50 オムロン37.9度
12:35 オムロン37.9度
13:05 検温38.0度
13:10 オムロン右腋37.7度 左腋37.8度
14:00 オムロン37.4度
14:30 オムロン37.5度
15:05 オムロン37.5度
15:48 オムロン37.3度
16:02 テルモ37.02度
16:04 オムロン37.8度
16:05 オムロン右腋37.5度 左腋37.6度
17:10 検温37.3度。薬を飲ませる。
17:18 オムロン37.6度
17:30 眠り始めた。
 
 ・・・・・・・・・
 病室で過ごす一日は長い。でも、夕方になって、薬を飲ませ、やがて、麻衣子が寝入ったのを確認し、窓のブラインドを閉じ、明かりを少し落として病室を後にするとき、私は幸福だった。麻衣子を守っているという充実感があった。美帆と別れて、なお一層、そうした気分は強まった。
 
10月27日(火)
9:35 麻衣子の病室へ。
10:05 検温38.7度
 麻衣子を義母にお願いして、私は、車のシールドビームの修理に行って来た。昨夜、病院を出るとき、通りかかった人に、片方のライトが付いていないと言われたので、早めに修理しようと思ったからだった。
16:35 大学病院のT先生が来る。
17:10 検温38.3度
18:23 オムロン38.5度
 
 ・・・・・・・・・
 病院からの帰り、ホームセンターに寄って、炊飯器としゃもじ、はたき、カラーボックスを買った。

麻衣子の記録 連載第91回

10月23日(金)
9:35 麻衣子の病室へ。
9:45 オムロン38.9度  
9:49 オムロン38.9度
12:06 オムロン39.1度 
12:53 オムロン38.8度 
13:00 検温38.0度。麻衣子はうなっている。
13:42 オムロン39.0度  
14:34 オムロン38.6度。麻衣子の唇が赤みをおびて、生き生きとしてきた。
15:30 落ち着いてきた。
15:36 オムロン38.6度 
16:50 検温38.4度
16:55 薬を飲ませる。
17:26 オムロン38.3度 
 
 私は、今日、麻衣子の学校へ住所変更を届け出た。履歴事項追加変更届(願)、公立学校共済組合員住所変更届、財形貯蓄の住所変更届などの書類を事務担当者に返送した。
 
前略 大変お世話になっております。
このような時期に、転居でご迷惑をおかけします。住居手当は、停止でお願いします。新しい住居は、私(夫)が契約者で、世帯主になります。財産形成貯蓄の用紙に捺印したのは、新しい印鑑です。契約時の印鑑は紛失しました。親睦会費はそのままで結構です。いろいろと、お手数かけますがよろしくお願いします。病室の家内につきっきりで、そちらに出向くことができません。お許しください。なお、書類に不備があったらお知らせください。
 
 夫婦は同居の義務があるのだから、私が引っ越す場合は麻衣子と一緒なのは当然のことだ。私は、アパートの玄関の表札カードに、住所と私と麻衣子の名前を記入した。麻衣子がこのアパートに帰って来ることはあり得ないだろう。でも、入院している麻衣子が、もし、帰ってくるのなら、それは、ここであって、決して、今、美帆の住んでいる団地ではない。
 やっと、この日、私は美帆から麻衣子を完全に取り返したのだった。
 
10月24日(土)
9:50 麻衣子の病室へ。
9:54 オムロン37.6度
10:30 検温37.0度、血圧正常。
10:40 薬を飲ませる。おむつ交換。お通じがないので座薬。熱が下がって落ち着いている。
12:22 オムロン36.9度
13:32 オムロン36.7度
14:35 検温37.4度。「うーん」と声を出している。また、体温が上がり始めるのか?
14:50 オムロン37.3度  
16:50 オムロン37.8度 
17:35 薬を飲ませる。
 ・・・・・・・・・
 私の看護生活のホームベースが、一人暮らしのアパートに移った。美帆を気にしないで、麻衣子の看護に没頭できるようになった。私の心は自由になり、グンと安定した。これは、本当に良いことだ。

麻衣子の記録 連載第90回

10月21日(水)
9:40 麻衣子の病室へ。朝から、38.9度の高熱でうなっている。ひたすら、小さなタオルで額を冷やしてやる。
13:20 検温37.6度
13:47 オムロン38.8度 
14:49 オムロン38.3度 
15:30 オムロン38.2度 
16:25 オムロン38.1度 
16:55 テルモ37.68度
17:10 検温37.8度
17:50 薬を飲ませる。
 
10月22日(木)
9:35 麻衣子の病室へ。熱は微熱で、落ち着いている。
10:35 検温37.5度。看護師さんによる口腔ケア。
13:15 検温37.5度。麻衣子は落ち着いている。
14:05 診察があった。
 ・・・・・・・・・
 私が療育病棟に居るとき、ほとんど、回診を見ることがない。だから、医師による回診があると、とても心配になる。
 
私から麻美へ
さっき、数人の医師による診察がありました。いつのまにか、個室や特別室の患者が変わっています。ママが、本当に遠いところへ行ってしまうのも、まもなくのことかもしれません。
 
15:45 36.5度。氷枕をとる。
15:50 喉の大きなネバネバの塊を取ってあげる。
16:55 すやすやと寝ている。
17:05 検温36.9度
17:15 薬を飲ませる。

麻衣子の記録 写真編32

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 麻衣子の両手(特に右手)は拘縮し、丸まってしまって、開くことはできなくなっている。現在では、看護師さんが、タオルケットの上に出さないので、私は、見ないですんでいる。それは、せめてもの救いかもしれない。(2015年10月19日)

麻衣子の記録 連載第89回

10月19日(月)
10:10 麻衣子の病室へ。
10:17 オムロン38.3度 
10:20 検温37.8度 
11:33 オムロン38.3度  
12:01 オムロン38.1度 
13:15 検温38.4度
13:17 オムロン38.0度 
13:35 口の中をきれいにしてあげる。
14:15 歯をきれいにしてあげて、乳酸菌飲料を飲ませる。
14:31 オムロン38.3度 
16:33 オムロン38.3度 
  ・・・・・・・・・・
 麻衣子の両手(特に右手)は拘縮し、丸まってしまって、開くことはできなくなっている。現在では、看護師さんが、タオルケットの上に出さないので、私は、見ないですんでいる。それは、せめてもの救いかもしれない。
 買い物リスト・・しゃもじ、海苔、明太子、コーラ、手洗い洗剤、氷を作る器、写真用紙、インク、両面テープ、スタイロフォーム
 海苔、明太子はお昼のおにぎりの材料。
 写真用紙、インク、両面テープ、スタイロフォームは麻衣子の写真を大きくして飾るための材料。
 着々とアパートの部屋の整備を進めている。
 
10月20日(火)
9:40 麻衣子の病室へ。相変わらずの発熱。氷枕とタオルで冷やす。
 お昼に、義母に、麻衣子を頼んで、私は窓口センターへ行き、住民票の異動を行った。15日付で、私と麻衣子はみどりのの住民になった。松代の美帆とは世帯分離した。
 午後4時ちょっと前、大学病院のT先生が病室に来た。先生は、「こんなに長くなるとは思っていなかった。良いことなのかどうか」と言った。でも、私は、どんな姿になっても、生きていることは素晴らしいのだと思っている。
16:00 義母が帰る。次は来週の月曜日か火曜日に来るという。結局、麻衣子の看護は、私が頑張らねばならないと思う。新しいアパートに移ったし、がんばるぞ!と、改めて思った。
16:50 薬を飲ませる。

麻衣子の記録 連載第88回

10月16日(金)
 朝、歯科医院に寄ってから病院へ。
11:00 麻衣子の病室へ。37度台の熱のためか、落ち着いている。頭の下には冷やし枕。
11:08 オムロン37.2度 
15:10 口を開けてくれたので、口の中をきれいにすることができた。
16:39 オムロン37.3度
17:12 検温37.2度
17:15 オムロン37.1度
17:30 薬を飲ませる。
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 熱が低めで、とても穏やかな一日であった。麻衣子は少し声を出してはいた。
 どういうわけか、麻衣子のJ銀行のキャッシュカードが使えなくなった。理由はわからない。いつものパスワードを受け付けなくなった。すでに、残高はそれほどではないのだが、毎月の麻衣子の給与はこの口座に振り込まれている。
 これで、私の全収入は、わずかな年金だけになってしまうが、貯金があるから、困りはしない。でも、これから、アパートの家賃と生活費、麻衣子の入院費用とで、毎月、大きな赤字が続くだろう。
 
10月17日(土)
 この日は、義母と麻美に麻衣子を頼んで、私は、すぐにアパートに戻り、団地とアパートを往復して、残りの引っ越し荷物を運んだ。
 
10月18日(日)
9:35 麻衣子の病室へ。オムロン38.5度 
9:40 オムロン38.5度 
10:48 オムロン38.8度 
11:00 検温38.1度。オムロン38.8度
11:42 オムロン38.6度 
13:17 オムロン39.1度 
13:56 オムロン38.5度 
14:18 オムロン39.2度 
14:30 熱が高いので、腋の下にも冷やし枕。
16:57 オムロン38.5度 
17:10 検温で、まだ体温は38度、小さな声だが、麻衣子は声を出している。
17:30 口の中のネバネバをとる。
 
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 このところ、私自身が体調を崩した。引っ越し作業で疲労がたまったためだろうか、ずっと、下痢が続いていた。でも、今日は体調がもとどおりに回復した。これからは、食べ物に気をつけて生活しようと思う。
 孤独な看護生活である。義母や娘たちがみんな、私が自分のわがままで、麻衣子の尊厳を冒し、延命をはかって、麻衣子を苦しめていると言いたげなのである。ずっと、つきっきりで看護に当たっているのは誰だ。麻衣子の看護方針は私が決める。麻衣子が天国に旅立った後は、そんな家族と顔を合わせることもないだろう。顔など合わせたくもない。自分一人で生きていくのだ。

麻衣子の記録 連載第87回

10月14日(水)
9:35 麻衣子の病室へ。麻衣子はうなってはいない。左腋の方が体温は低い。
9:48 オムロン37.9度 
10:10 薬を飲ませる。
11:00 検温37.7度
12:18 オムロン37.7度。すやすや眠っている。
13:10 検温37.2度
13:13 オムロン38.4度
13:14 オムロン37.7度
14:13 テルモ37.27度
15:16 オムロン37.0度
17:20 オムロン37.1度
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 今日の麻衣子は、久しぶりに熱が下がり、穏やかな表情に戻った。
 買い物リスト・・・匂いを取るつぶつぶ、油がはねるのを防止するアルミ、カーテン、漂白剤、果物入れ、延長コード、炊飯器と台、土鍋、写真用紙。
 
10月15日(木)
10:00 麻衣子の病室へ。
10:10 検温37.5度
12:45 検温37.3度
15:57 オムロン37.6度  
16:45 薬を飲ませたが、飲みにくそうだったのは、喉に白い物がたまっていたからだった。
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 今日は、熱が高くないせいか、すやすやとよく寝ていた。
 買い物リスト・・・台所用漂白剤、ヘルスメーター、ハンガー、果物、酢の物、海藻、ドリンク。