昨日の麻衣子の命日には、研究学園駅前のマンションに暮らしている美帆と、ふたりで、駅前の寿司店で昼食をとってから、麻衣子の墓参りに行った。
「麻衣子の記録」は、製本業者に発注して、とりあえず、100部作った。自費出版ではなく、私家版製本である。そして、麻衣子の昔の友達や同僚などへ、その多くを送った。
でも、まだ、美帆には見せていない。
ただ、以前、美帆に会ったとき、私はこう言っておいた。
「今、ママの病気を題材に小説を書いている。美帆には悪役で登場して貰うよ」
しばらく前、鳥取に住んでいる長女の麻美からLINEで連絡があった。
埼玉の義母から電話があって、こう言われたのだと言う。
「麻衣子の友達のお母様から、小説で、お孫さんがとても悪く書かれているのでびっくりしたと言われた」と。
私は、麻美に、こう書いた。
「一応、この本は、小説ですからね。それを、事実ととるか、フィクションだととるかは人それぞれでしょう」