麻衣子の記録 連載第53回

8月8日(土)
9:45 麻衣子の病室へ。看護師さんに顔と口の中をきれいにしてもらう。
9:50 薬を飲ませる。
10:00 両足が動き、ギター型の発作がある。
10:20 右足中心の収縮発作がある。かなり長い。
10:35 薬が効いてきたようで、口を開け、目は閉じている。
10:45 口を大きく開けていたので、喉のネバネバをとってから、柑橘系飲料を飲ませる。今までにないほど、たくさんの量。
11:15 喉のネバネバをとる。乳酸菌飲料を飲ませる。
12:20 足の収縮発作がある。
12:33 口を開けて眠っている。薬が効いて、その副作用の眠気だろう。
12:45 乳酸菌飲料を飲ませる(5cc)。
13:16 担当者によるおむつ交換、体位変換。とても落ち着いている。
13:23 頬が少しピクピクしている。でも、表情は悪くはない。
13:50 飲み物柑橘系飲料を飲ませる。(5cc)
14:05 乳酸菌飲料を飲ませる。とても穏やかな様子である。
14:15 右足と右腕が少し動く発作がある。
14:45 「アハンアハン」と声を出したので、喉のネバネバをとって、飲み物をあげた。
15:12 喉をきれいにして、乳酸菌飲料を飲ませる。
15:30 舌を出していたので、乳酸菌飲料を飲ませる。
15:55 乳酸菌飲料を飲ませる。
16:15 ちょっと、収縮発作がある。
16:25 頭で発作が起こっている。苦しそうな様子。胸のあたりも動いている。
16:37 唇を尖らせて「オワオワ」と声を出す。
16:45 右足が動く収縮発作がある。
16:50 腕を組んだ姿勢で、胸は揺れている。
17:00 両足(特に左)が収縮している。揺れている。次に右足が収縮して、不安そうな表情を見せる。右足を押さえ、固定してやると治まった。 
17:15 検温36.8度、午前中は37.1度だった。 
17:25 右足が動き、「オワオワ」、唇を上にあげて、目はピクピク、パチパチ(2度音がした)、苦しそうだ。
17:35 薬を飲ませる。
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 ベッドの上で、目をきょろきょろと動かしている、かわいそうな麻衣子の魂。今、このママ赤ちゃんに何をしてあげればいいのかを考えるのが大切だと思う。大事に扱ってくれる病院スタッフの方々には感謝している。
 麻衣子の病気が始まって、4カ月近くになる。だんだん、私も落ち着いて、麻衣子の病気を受け入れる気持ちにもなってきた。もう、麻衣子は元気な姿で家に戻ることはないのだということを認められるようになってきて、今後の私の生活を考えるゆとりも出てきた。M中央病院に転院し、病院スタッフの支援に支えられ、私の気持ちもとても落ち着いた。麻衣子を苦しめてきた発作も弱くなり、落ち着いて来たように思う。
 この1カ月、夜は家で寝るようになり、美帆と2人、一緒に暮らせるのかを試す期間ともなった。結論は、私にとっても、美帆にとっても、2人で暮らすのは、お互いが不幸だということがはっきりしてきたように思う。麻衣子がこんな状態の時だからこそ、もっともっと協力し合わなければいけないのに。それができていないのだ。
  
8月9日(日)
9:50 麻衣子の病室へ。元気がない。飲み物も飲まない。
10:10 口を大きく開いて苦しそう。声は出ない。発作か?
10:23 柑橘系飲料を少量(4cc)飲ませる。「あーあー」と声を出し、元気な麻衣子になった。
10:45 検温、血圧測定。
10:50 柑橘系飲料と乳酸菌飲料を飲ませる。
11:15 薬を飲み終える。
11:25 穏やかな顔で、目は閉じている。
12:18 眠っているようだ。
12:54 結構長く、眠っている。
13:15 無理に起こして、乳酸菌飲料と柑橘系飲料を飲ませる。眠ってばかりいては、夜眠れなくなるから。
13:30 目を開けたので、水分をあげた。
13:50 喉のネバネバをとって、飲み物をあげた。
14:03 ごく弱い、痴呆発作か? 表情でなんとなく。
14:06 担当者によるおむつ交換、体位変換
14:17 「オワオワ」発作。口を尖らせて。胸と左腕が動いている。次は右肩が揺れている。口を開けて、「うーん」という小さな声を出した。元気だった頃の麻衣子とは別人のような表情である。
14:22 検温、血圧測定。 
14:28 右足が動く。弱い収縮発作。 
14:33 頬が少し動いている。
14:40 声を出しているので、飲み物(6ccぐらい)をあげた。
14:54 「カカカ」と声を出した。飲み込んだようだ。
15:06 発作は治まっているようだ。
15:15 頬、右手、右足などが動く発作、それほど強くはない。 
15:23 左頬が動いている。
15:32 口が動く。「オワオワ」発作。左手、右足も動く。でも弱い。目は薄目。 
15:50 足が動いたが、穏やかに終わる。表情を見ると薬が効いているような感じがする。
16:07 右足の収縮発作。比較的軽く終わる。表情も穏やか。
16:12 穏やかな表情である。
16:15 右足の収縮。最初は不安な表情であったが、足を押さえてやると、すぐに治まった。
16:25 右足の収縮。喉をきれいにして、乳酸菌飲料を飲ませる。
16:33 左頬が動く。動くとき、音がした。
16:45 右足の収縮発作。足を押さえて固定してやると、それほど不安な表情ではない。口は若干尖らせた。右手が動くが、自分で動かしているようにも見えた。