麻衣子の記録 連載第58回

8月18日(火)
9:45 麻衣子の病室へ。
10:00 喉をきれいにして、乳酸菌飲料を飲ませる。
10:15 右足の収縮発作。薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。表情は元気だ。
10:48 体を拭いてもらい、着替えをしてもらう。看護主任さんから、「中心静脈栄養にしたいのですが」という話があった。
11:15 看護師さんによる口腔ケア。
 
私から麻美へ
ママの点滴は、まもなく、中心静脈栄養に変わります。手や足からの点滴よりも高カロリーの輸液が使えるそうです。美帆は延命治療だと言うかも知れませんが、点滴がなくて餓死するというのは、他の合併症で亡くなるのと比べ、どんなに苦痛なことかと考えて、この処置をお願いしました。ママには、もっともっと生きていて欲しいです。
 
13:00 唇がピクピク。発作は弱い。
13:25 乳酸菌飲料を飲ませる。 
13:30 右足収縮発作。
13:40 おむつ交換。
14:00 喉のネバネバをとって、乳酸菌飲料を飲ませる。
14:40 胸、両足収縮発作。
15:20 喉のネバネバをとって、乳酸菌飲料を飲ませる。頬がピクピクしている。
15:40 大学病院のT先生が来る。
17:00 中心静脈栄養の処置が終わる。
17:25 喉のネバネバをとる。 
17:35 薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
18:35 眠り始めた。
 
私から麻美へ
点滴は太腿からになりました。お義母さんはその処置が終わった午後5時に帰りました。お義母さんに、美帆と私がうまくいっていないことを話したら、住んだことのない知らない土地より、つくばにアパートを借りて暮らしたらと言ってくれました。美帆も私もそれぞれ独立するのが一番良いと感じています。
 
8月19日(水)
9:40 麻衣子の病室へ。輸液が高カロリーのものに変わっていた。目を開けていて、元気そうだ。そのことが、うれしくて涙が出る。まず、乳酸菌飲料を飲ませる。ベッドの掃除に来た管理部の職員に体位変換してもらったとき、乳酸菌飲料を少し吹き出した。喉にネバネバがあるようだ。喉のネバネバをとって、また、乳酸菌飲料を飲ませる。薬が来たので飲ませる。そして、また、乳酸菌飲料を飲ませる。
10:05 口を開けて眠っている。薬の効きとしては、早すぎる。目を開けた。
10:28 乳酸菌飲料を微量飲ませる。足の動き(自分で)が結構あるようなのがうれしかった。
11:00 喉のネバネバをとった。口を開けて、「あっ、あっ」と声を出した。
11:15 薬が効いたときの表情で眠っている。
 私は娘たちに迷惑をかけずに生きていく。父と娘がお互い、自立することが大切だ。そんなことを考えた。
11:40 「えーっ」と、喉の奥から苦しそうな声を出したので驚いた。喉のネバネバをとってやる。
12:10 口を開けたので、乳酸菌飲料を少量飲ませる。
13:10 検温、血圧測定。  
13:30 喉のネバネバをとって、乳酸菌飲料を飲ませる。穏やかで良い表情。
14:30 左頬が引きつったような表情を見せる。おむつ交換。おしっこが漏れていたので、ネグリジェを着替える。
15:50 おしっこの管の交換が終わる。でも、また、漏れるかもしれないという。(管が入れにくいらしい)
16:30 唇が右頬の方へ引きつる。発作か? 右足や上半身も収縮?
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 今日は発作が少ない穏やかな一日だった。
 美帆にお金を渡して、7月分の入院費を払ってきてもらう。美帆と交替して、私は団地へ帰る。