麻衣子の記録 連載第80回

10月1日(木)
 不動産屋で、アパートの鍵を貰ってから病院へ行った。
 麻衣子の高熱は続いている。看護師さんによる、定期的な検温があるが、私も麻衣子の体温を測るようにした。オムロンと書いてあるのは、私が測ったものである。のちに、テルモの体温計の記述が出てくるが、これは、私が間違って買ってしまった基礎体温計で、口中ではなく、腋の下で測っているから、不正確であり、オムロンと較べて、数値が、かなり低く出ていた。でも、熱が上がったり下がったりの変化はわかるので、そのまま使っていた。
10:10 麻衣子の病室へ。「うーん、うーん」と苦しそうにうなっている。高熱が続いている。おしっこで汚れたので、ネグリジェを着替えさせて貰った。
12:10 オムロン39.3度
12:40 薬のせいで眠くなったのか、うなり声は出さなくなった。
13:00 オムロン38.3度。看護師さんによる検温も同じ、38.3度であった。
13:15 おむつ交換と体位変換
13:50 オムロン37.7度
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 発作はほとんどない。心配なのは発熱だけだ。
 今日から、私は、新居への引っ越しを少しずつ進めている。病院からの帰りに、ホームセンターで脚立とトイレットペーパー、雑巾、ゴミ袋を買って、アパートへ行った。とりあえず、電灯をひとつつけた。ガス台や洗濯機、冷蔵庫を置く場所の寸法を測った。部屋のサイズを計測した。天気が悪いので、荷物の移動は明日からになるかな。
 麻衣子は相変わらず、高熱が続き、「うーん、うーん」とうなっている。タオルで頭を冷やしてやっている。やがて、熱も37度台に下がり、落ち着いた。
 昨夜、麻美と電話で話した。今後、3人で相談する必要なんてないと思った。私は私の考えで進める。自分の生きたいように生きるだけだ。
 
10月2日(金)
 朝、団地からアパートへ、段ボール箱9個を運んだ。毎日、早朝と深夜に、引っ越し荷物を少しずつ、アパートに運んでいる。
9:55 麻衣子の病室へ。40度を超える高熱で、「うーん、うーん」とうなっている。
12:55 熱が上がりきって、その熱に慣れたのか、うならなくなった。オムロン39.6度
13:30 オムロン39.2度
16:15 熱が少し下がったような気がする。でも、腋の下に氷が入っているので、体温は測れない。
17:15 薬を飲ませる。
17:20 氷枕と腋の下も冷やしてもらい、額も冷やしたので、36.7度まで下がった。
18:00 薬が効いてきたのか、眠そうな表情になった。