2020-12-31から1日間の記事一覧

麻衣子の記録 連載第111回(終)

12月4日(金) 0時51分、麻衣子は天国に旅立った。59歳だった。発病から239日目。入院してからは、204日目だった。麻衣子は、悪魔のような病気から、ようやく解放された。同時に、私の看護生活も終わりを告げた。私には、もう、麻衣子のために、してやれるこ…

麻衣子の記録 連載第110回

12月2日(水) 麻衣子の勤務する聾学校の創立50周年記念式典の日だった。 2:49 血圧 78-46 5:20 血圧 87-49 6:00 昏睡状態のように、鼻息を立てて眠っている。 8:00 義母と交替して、私はいったんアパートに戻り、仮眠する。 ・・・・・・・・・・・・・・…

麻衣子の記録 連載第109回

12月1日(火) 8:10 麻衣子の病室へ。美帆はすぐ、ここから職場へ向かった。朝、私が家を出るとき、美帆から電話があり、自分は7時までに仕事に戻るので、早く病院へ来てほしいと言われた。麻衣子がこんな状態の時に、何を言っているんだ。 私は、病院に着い…

麻衣子の記録 写真編34

この日の麻衣子のビデオ映像が残っている。9時51分29秒から28秒間の麻衣子の生前最後の動画である。私は、大学病院で余命1ヶ月を宣告されたとき、麻衣子がすぐに昏睡状態(植物状態)に陥ってしまうものと考えていた。でも、それは違っていた。麻衣子は、見…

麻衣子の記録 連載第108回

11月28日(土) 朝、美帆と交替する。私はアパートに戻る。 午後、義母から電話があったが、電話には出なかった。 麻衣子はあと何日生きているのだろうか。 もう、ほとんど死んでいるようにも見える。 麻衣子はもう危ない。 私の看護生活もまもなく終わるだ…

麻衣子の記録 連載第107回

11月27日(金) 0:00 麻衣子は眠っている。 夕方、麻美を荒川沖駅まで送った。麻美が、いったん、鳥取に帰ることになったからだ。私は、麻美に、今度、つくばに来るのは、「ママが亡くなった後でも良い」と話した。麻美は、美帆が体調が悪いらしく、病棟へ来…

麻衣子の記録 写真編33

血圧は下がり続けた。(2015年11月24日)

麻衣子の記録 連載第106回

8 旅立ち 11月24日(火) 午前中に主治医(院長)から話があった。延命をどうするかについてだった。もし、私が延命を希望すれば、人工呼吸器や輸血を始めとする、様々な処置をするのだろう。 目の前のモニターには、麻衣子の体の状態を示す数値データが表示…