麻衣子の記録 連載第43回

7月23日(木)
9:40 麻衣子の病室へ。まず、乳酸菌飲料を少量飲ませ、口の中をスポンジ歯ブラシできれいにする。顔をウェットティッシュで拭いてあげると、とても良い表情になった。CDでフォークソングを聴かせる。
10:13 とても表情がいい。落ち着いている。
10:20 薬と乳酸菌飲料を飲ませる。
10:35 両腕と左足が動くギター型の発作。看護師さんが顔をきれいに、口の中をきれいにしてくれた。うぶ毛も剃ってくれた。
10:45 首を後ろに、目をピクピク。鼻息。右足が動く。次に、軽い痴呆発作。その後、泣き出す。寂しくないようにと、顔に触れてやる、手を握ってやる、そして、CDの音も大きくした。
11:30 薬を飲んだ後、眠る時間が長いような気がした。でも、つらい発作がなくなるのはとても良いことだ。
11:36 泣きそうな様子で、口を動かしていたので、乳酸菌飲料を少し飲ませた。その後、麻衣子は眠り始めた。
12:10 左手を動かしている。喉を鳴らしている。遊びか?
12:18 水を少量飲ませる。
12:35 口を開けて、喉を鳴らして眠っている。でも、目を開けた。
12:40 反対向きに、体位変換をした。
12:45 まだ眠そうである。でも、また目を開けた。音楽を熱心に聞いて、左手を動かしているように見える。
13:00 足の不随意運動は起きているのだが、落ち着いている。熱心に音楽を聴いているように感じる。
13:37 本当に落ち着いていると感じる。環境が良いせいかな。
13:50 お風呂に行った。
14:05 お風呂から帰ってきた。髪の毛をドライヤーで乾かしてもらい、点滴をつないでもらった。体力がないので、長い時間のお風呂は無理だそうだ。でも、入浴後の表情がいい。
14:50 収縮発作がある。でも、すぐに落ち着く。 
15:10 目がピクピク、上唇が上にめくれる。でも、落ち着く。
15:24 音楽に合わせて手を動かしているように見える。
15:35 強い収縮発作。右足を押さえてやると、やがて落ち着いた。
15:45 収縮発作があった。
17:10 体位変換をする。
17:35 喉から、変な音が聞こえた。
18:00 夜の薬と、乳酸菌飲料を飲ませた。
18:52 落ち着いている。音楽を聴いているようだ。右手を動かしている。喉を鳴らして遊んでいるのか、「カッ、カッ、カッ」、「ガ、ガ、ゴー」と声を出す。
19:00 歯をむき出すような上唇の動きがある。
 
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 この病気は、今後、どういう経過をたどるのだろうか、とても不安だ。
 4階にいたときに、顔見知りになったお掃除のおばちゃんと廊下で会った。
「どこへ行ったのかと思ってましたよ。この部屋は高いんじゃないの?」
「そんなことないですよ」
 以前、このおばちゃんが言っていた。
「女の人って駄目ねえ、病院に来てもさっさと帰っちゃうんだから。男の人の方が、奥さんの世話を一生懸命やるわね」
 病院に仕事で出入りする人たちは、患者や家族のことをしっかり観察しているのだなと思った。
 
7月24日(金)
9:30 麻衣子の病室へ。口の中をきれいにして、薬と乳酸菌飲料を飲ませる。看護師さんに浣腸をしてもらう。
10:35 麻美と美帆が来た。
11:35 弱い発作か?
13:15 起こしてあったベッドを戻そうとしたら、びっくり反射を起こした。でも、すぐに治まった。
13:30 弱い、びっくり反射。
14:20 喉で音を立てている。笑っているのは、面白いからか。
16:05 比較的穏やかだが、収縮発作あり。
16:38 発作があり、恐れたような表情を見せた。
16:50 収縮発作。鼻息、強くて長く続く。