麻衣子の記録 連載第47回

7月29日(水)
9:30 麻衣子の病室へ。乳酸菌飲料を飲ませる。口と喉をきれいに、顔をきれいにして、リップクリームを塗ってあげた。
10:00 薬と乳酸菌飲料を飲ませる。ギター型発作がある。音楽に合わせて、手を動かしているようだ。喉を鳴らしている。
10:20 頭部に現れる、つらそうな発作。かなり長く続く。両手も動く。「あーん」という元気な声を久しぶりに聞いた。まだ、十分元気だと思った。
10:28 検温36.8度
10:30 右足が少し動いている。
10:33 看護師さんに口腔ケアをしてもらう。ベッドを操作して、上体を起こしてもらう。
11:00 頭部に現れる発作。目、手、足、口も動く。かなり辛そうだ。「あー」という声を出した。発作は、かなり長く続き、それが終わる頃、口をゆがめた。
11:10 発作の疲れか眠っている。でもすぐ、目を開けた。 
11:25 音楽(竹内まりや)を聴かせている。
11:50 乳酸菌飲料を飲ませる。
12:20 穏やかだ。今の麻衣子と一緒にいる時間は、私にとって、貴重な時間になるだろう。
12:30 目が薄目になった。眠いのか、それとも発作か。麻衣子は今、どんな世界にいるのだろう。
13:00 左足が少し動く。 
13:08 血圧測定、正常。毎朝、お通じがあるとのこと。「いままで、溜まっていた分が、少しずつ出ているのでしょう」と看護師さんが言う。おむつ交換。
13:35 喉をきれいに。乳酸菌飲料を飲ませる。右腕を動かしている。
13:40 痰が絡んだような声を出した。でも、まだ自分で吐き出す力はあるようだ。
14:15 喉をきれいにしてやる。少し、発作か。胸と足が動く。主に、右足と右腕が動いた。それに加えて、声を出した。
14:40 落ち着いている。
15:00 頭部に現れる発作が起きている。弱いが、目をピクピク、パチパチさせている。口はあんぐりと開けている。手も動いている。「はー」と言う声を出した。
15:15 痰の吸引のための管が用意された。
15:35 足が動く。表情も変わる。口が開き、ゼーゼーしている。呼吸筋が冒され、呼吸不全に進んでしまうのか、心配だ。
16:00 口を開けて、ゼーゼーすることが多くなったように思う。
16:06 音楽をかけている。両腕が動いている。 
16:25 喉をきれいにした。
16:40 頬がピクピクする不随意運動。
16:55 足が少し動いている。
17:05 目を見開いて、唇が少し動く。発作のようだ。
17:07 検温37.2度
17:15 弱い発作が続いているようだ。
17:40 薬と乳酸菌飲料を飲ませる。ちょっとこぼした。でも、80パーセントは入った。これからは、顎の下にビニールを置くことにしよう。こぼれても回収できるからだ。大切な薬だ。実は、大学病院を退院するとき、すでに処方されていた薬を渡された。それを大切に持っていた。こんな時に、活用しようと。 
17:50 CD再生がストップした。すると、麻衣子が泣き出した。音楽が聴こえなくなり、さみしくなって泣いているのかな。違うかな?
17:57 喉をゼーゼーさせている。喉をスポンジ歯ブラシで、きれいにする。
18:07 喉がゼーゼーして苦しそうだったが、自力で飲みこめたようだ。
18:25 いい寝顔だ。