麻衣子の記録 連載第60回

8月21日(金)
9:40 麻衣子の病室へ。乳酸菌飲料を飲ませる。喉のネバネバをとる。薬を飲ませる。
10:15 看護師さんと職場体験の中学生に口の中や顔をきれいにしてもらう。
10:35 右足が動く。表情は悪くはない。
11:20 義母がやってくる。
12:05 左頬がピクピクしている。
12:35 喉のネバネバをとって、乳酸菌飲料を飲ませる。
13:10 検温37.8度、血圧測定。
13:30 氷枕にしてもらう。
14:30 喉のネバネバをとって、乳酸菌飲料を飲ませる。口元が動く。手も動いている。
15:30 担当者によるおむつ交換、体位変換。義母が帰る。喉のネバネバをとって、乳酸菌飲料を飲ませる。
15:55 右足が少し動く。体も動く。
16:30 右足に強い収縮。不安そうな表情を見せる。膝を押さえて固定してやると、しばらくして治まる。
16:43 目がピクピク、パチパチしている。
17:18 喉のネバネバをとる。喉の音を楽しんでいるのを奪っているのかな?  
17:24 喉のネバネバ、透明なものをたくさんとる。そのあと、乳酸菌飲料を飲ませる。
17:40 薬を飲ませる。乳酸菌飲料を飲ませる。
18:14 唇を突き出す。これも発作なのかな?
 
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 病気にかかってしまったのは、誰の責任でもない。私は、今できることをすればいい。麻衣子にしてあげられることだけをしてあげればいい。ただ、それだけ。麻衣子の魂があるかぎり、寄り添いたいと思う。
 
8月22日(土)
9:40 麻衣子の病室へ。まず、乳酸菌飲料を飲ませる。そして、喉のネバネバ(量が多い)をとる。薬と乳酸菌飲料を飲ませる。もう一度、口の中をきれいにする。とてもいい表情になった。口の中が不快な状態が続いて、苦しんでいたのかもしれないと思った。そのあとに、看護師さんによる口腔ケアがあり、口と顔をきれいにしてもらった。
10:20 胸が動いている。発作? 表情はよい。 
10:40 検温37.5度。血圧測定。
11:07 氷枕をしてもらう。
11:30 熱があるせいか、元気がない。左頬が引きつる発作があった。
13:10 検温。熱は下がった。
 麻美、美帆が来たので、交替して、団地に帰る。
 
家内の入院は今日で100日目になりました。入院直後、主治医から余命1ヶ月を宣告された家内は、3ヶ月を過ぎた今も、がんばって生きてくれています。朝、車で病院へ行き、病室へ入っていくまでが、私が一番苦しいときです。前日の午後7時に病室を後にしたのだけれど、夜の間に、病状がグンと悪化してしまったのではないかと。だから、病室に入り、家内がベッドの上で目を開けているのを見たとき、本当にうれしくて涙が出ます。すぐに、乳酸菌飲料をリシンジーで飲ませます。それを飲んでくれたとき、また、涙が出ます。でも、こんな日々は、いつまで続くのだろうか。もし、目を開けなくなってしまったらどうしよう。臆病は私は、いつも不安におびえています。