麻衣子の記録 写真編20

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 午後4時ごろ、聾学校の教頭先生、N先生、S先生が見舞いに来てくれた。教頭先生とN先生には誰もいない日曜日の待合室で待っていてもらい、代表で、S先生に病室に入ってもらった。S先生は麻衣子にいろいろなことを話しかけてくれた。麻衣子はS先生の話しかけに、口を動かして、答えようとしているようにも見えた。待合室へ戻る途中、S先生は、麻衣子に会えて本当に良かった、今日は本当に最高の日だと、何度も私に言った。
 S先生と麻衣子は、二人きりで忘年会をするほどの気が合う同僚だった。S先生は、その後、M中央病院に転院した後も、しばしば麻衣子に会いに来てくれた。私は、S先生には、もう少し早く、会ってもらうべきだったと後悔した。今日では遅すぎたと思った。(2015年6月14日)